奥能登里山里海アートプロジェクト
Oku-Noto Satoyama-Satoumi
Art Project
本アートプロジェクトは、2014年に終了しました。
奥能登の里山里海において、金沢美術工芸大学の学生・教員や国内外のアーティストが長期滞在しながら地域の住民と連携してアート作品を制作しました。
フィールドワークによる現地調査を行い、地域の特性を活かした奥能登独自の事業を展開し、再生された古民家や廃校となった小・中学校などで、その場の空間を取り込んだ展覧会を行いました。
地域の風土や歴史とアートを融合したアートプロジェクトを行うことは、東アジアに囲まれた環日本海の中心に位置する奥能登が、世界に開かれた多文化共生・交流推進の中心的役割を担えることを実証することになります。
成果を継続して、近い将来に奥能登において風土と歴史を取り込んだ国際的芸術祭が開催されることをめざしました。
本アートプロジェクトは2014年に終了しましたが、2017年9月から石川県珠洲市で「奥能登国際芸術祭」がトリエンナーレ形式で開催されました。
会場情報-AREA
<珠洲焼資料館>
○珠洲焼プロジェクト 窖窯
○「新たな珠洲焼の可能性検証プロジェクト」展覧会場
<古民家もより>
○「能登地域における空間アートプロジェクト 研究成果報告展」
○珠洲焼プロジェクト会場
<上黒丸地区>
○上黒丸アートプロジェクト
○てくてく上黒丸
珠洲焼プロジェクト
<珠洲焼インスタレーション>
珠洲市で掘り出され調合された陶土3トンを金沢美術工芸大学へ運び陶板を制作します。その陶板を珠洲市の珠洲焼資料館内に復元された窖窯(あながま)で焼成します。
焼成された陶板上に珠洲の天然塩と珪藻土を置いて構成された作品を珠洲市飯田地区にある古民家に運び込み、その場との対話を重ねながら作品を設置しました。
日常の空間が非日常的なアーティスティックな空間に日々変容して行く過程が見られる展示を行いました。
地域の風土や歴史から生まれながら忽然と姿を消し近年再興された珠洲焼と現代アートを融合したアートプロジェクトは、地域の特性を活かした、その地域でしか成立しえない新たな可能性を創出する試みです。
<新たな珠洲焼の可能性検証プロジェクト>
珠洲焼は、中世の日本を代表する陶磁器のひとつで12世紀後半頃から15世紀末頃に能登半島にある珠洲市付近で生産されました。古墳時代から平安時代にかけて焼かれた須恵器の技法を受け継ぎ焼成されていた焼物です。
約500年前に忽然と姿を消した珠洲焼は冷却炭化焼成された黒い焼き物で、それは現代空間でも十分魅力的です。
珠洲市は1978年に陶芸実習センター(現珠洲市陶芸センター)を開設し、現代に則した珠洲焼としての振興をめざしています。
新たな珠洲焼の可能性検証プロジェクトは、珠洲焼の素朴さ、優しさ、暖かさ、石川県の貴重な文化遺産を現代空間の中でその魅力を多くの方に知って頂き、発見、振興、復興に繋げることを目的としていました。又珠洲焼の魅力を蘇らせ、現代空間における新しい珠洲焼の作品制作をめざしました。
<風の音プロジェクト>
私たちの生活の中には水の音や風の音など、様々な自然の音に溢れています。しかし、それらの音は身近にあるからこそ、普段は聞き流してしまい注目はしないものです。この「風の音プロジェクト」はそのような普段聞き流してしまうような音を視覚化しようという試みでした。今回はとくに「風」の音に注目するために風鈴という媒体を使用しました。
風は世界中をめぐっているものであり、珠洲という日本の田舎の町にも世界中を巡った風が吹いていることを連想しました。珠洲焼きという珠洲の土着のものに触れた風がまた世界を巡ることは珠洲の象徴を世界に発信する様子をイメージしています。そのイメージから発展させ、展示場所も珠洲の象徴であると言える「棚田」を選びました。
上黒丸アートプロジェクト
珠洲市の若山町上黒丸地区は、奥能登の海に面しない中央の山麓にあり、里山を代表する存在です。静寂と共に広がるその佇まいや景観は桃源郷の如く美しく、その歴史や営みは神秘的な物語に包まれています。私達は1年半に及ぶ現地視察と上黒丸の旧小学校での長期滞在を通じて、その微細な空気と自然に対峙して来ました。そして今、多くの人との交流から得た知恵と新たなインスピレーションは、創造へと回帰しこの地に放たれます。紡ぎ出されたひとりひとり、そしてひとつひとつの物語がここに始まります。
てくてく上黒丸
<フィールドワーク&アート空間のデザイン>
里山や里海の集落や自然の魅力を地域の人たちとのコラボレーションで探索・発見、発信します。
○珠洲のアートフィールドマップづくり
・珠洲の魅力は自然や人々の生業(生産、生活、衣食住)そのままがアート→海、山の自然環境や集落の営みを探索し、地域の魅力を発見する
・候補地域は木の浦、飯田、上黒丸(外浦、内浦、内陸の個性的な3地域)を予定
・アートフィールドマップの作成(立体地図など)
○フットパス計画
・最終的には上記3地域から1地域に絞り、魅力のディテールを探り、地域を魅力的に感じることができるフットパスを計画・回遊ルート開発(例:小川に可愛い橋を架ける、景色のよいところにベンチを置く、竹林にアートを設置するなど)
・パス沿いの空き民家を借りて掃除・改修→週末限定のカフェの運営、素麺流し、西瓜食べる、バーベキュー etc.)
・地域の魅力をアートジンにまとめる ・地域の祭りと連携した(空間)提案など